今から取り組む体質改善“」

プレスタVol.10では「補完代替医療」に関する情報をお伝えいたしました。今回も引き続き金沢大学の鈴木先生(以下、鈴木)にお話しを伺い、「体質改善」「予防」というテーマについて掘り下げていきたいと思います。
薬による副作用とは異なる体調不良、治療は一段落したけれど、以前と体質が変わった気がする、そんな悩みに役立つ養生法について解説いただきました。

聞き手:株式会社スヴェンソン 小林由佳(以下、小林)

近年注目を集めている「未病」という考えかた

小林
最近「未病」を治そうという言葉がよく聞かれるようになりましたが、「未病」とは病気をしていないことを指すのですか?
鈴木
いいえ、簡単に言うと、「健康/病気」という2軸では片付けることのできない中間の状態のことをいいます。「崩れてしまった体のバランスを元に戻すことで、病気に対する抵抗力が戻る」という中医学の考えから来ているものです。現在、中国では国家プロジェクトとして、その未病を改善するため「治未病センター」が中国全土の病院に併設されています。その数は約200ヵ所近くあり、体質改善のための様々な養生法が指導されています。
小林
200ヵ所も!?そんなにたくさんあるんですね。
鈴木
国内でも神奈川県などの自治体において「体質の改善」をテーマにした取り組みが始まっています。
小林
その未病と体質にはどのような関係があるのですか?
鈴木
そもそも体質は遺伝的、後天的、環境的な要因が複雑に絡み合って形成されています。中医学には「未病体質」という概念があり、「未病体質」を「健康体質」に戻すということが推奨されているのです。
小林
…何だか難しそうですね。

体質九分類とは

鈴木
中医学において、人の体質は9つに分類されることが提唱されており、その9つの体質のうち、健康体質は「平和質へいわしつ」と呼ばれています。「平和質」以外の体質は全て「未病体質」にあたります。
小林
先生、その「未病体質」について詳しく教えていただけますか?
鈴木
例えば、気が少なくなった状態を「気虚質ききょしつ」といってこれは風邪を引きやすいタイプの人です。特徴としては、汗をかきやすい、疲れやすい、静けさが好き、といったことが挙げられます。「血お質けっおしつ」は、血の流れが悪くシミができやすい、「気鬱質きうつしつ」は気分が沈みがち、「特稟質とくひんしつ」はアレルギー体質で、花粉症など刺激に敏感・・・など、体質によってその特徴が異なります。
小林
私は何体質なのか気になります。自分の体質はどうしたら分かるのですか?

私は何体質なのか気になります。自分の体質はどうしたら分かるのですか?

自分の体質を知る

鈴木
研究の結果、未病体質の判定は簡単な60問の質問で分類できることが分かりました。未病体質研究会が運営する体質スタジオのホームページ上で判定が可能です。どの未病体質を持っているのか、コンピューターが自動で解析するので、一般の人でも簡単に利用できます。
小林
面白そうですね。早速やってみます。 ・・・先生、私は「血お質」(シミタイプ)でした。確かにシミができやすいです(笑)その他の体質にはどういった特徴があるのでしょうか。
鈴木
例えば、「湿熱質しつねつしつ」は体内に湿気と熱がこもる体質です。特徴的なものとしてニキビができやすく、口臭、目の充血などを訴える人もいます。
小林
私は「血お質」(シミタイプ)でしたが、実は目の充血も気になっています。「湿熱質」(ニキビタイプ)の傾向もあるのでしょうか?
鈴木
実は一つではなく、複数の未病体質を重ねて持っている人もいます。判定法では、最も気をつけるべき典型的な特徴について判定されるようになっているので、実際には、他にもスコアの悪い項目がある場合もあります。
小林
そうなんですね。私も、2つぐらいまたがって未病体質を持っている可能性があるということですね。自分の未病体質を「平和質」(健康タイプ)に近づけるにはどうしたら良いですか?

未病体質を改善する5大養生法

鈴木
未病体質の改善には、身体的なことだけでなく、心のケアも非常に大切です。
具体的には、1.飲食の養生(体質改善食・体質改善茶)2.メンタル養生3.ライフスタイルの改善 4.体質改善のための運動 5.ツボのセルフケアという5大養生法
を実践すると良いでしょう。
小林
トータルバランスが大切なんですね!
鈴木
まず飲食についてですが、体質ごとに「適する食材・量を控える食材」があります。メンタル養生は、自分の心理状態をどうコントロールするかがテーマで、例えば音楽療法などがあります。そして、体質改善には、ライフスタイルの改善も大切です。例えば「気虚質」(風邪ひきタイプ)のかたは、日頃から保湿を心がけ、汗をかいたあとは冷たい風に当たらないようにすることが大切です。
小林
食材からライフタイルの改善まで幅が広いですね。残りの2つの養生法についても気になります。
鈴木
運動も実はとても重要な要素です。先ほどご紹介した体質スタジオでは、体質に合わせて個別に運動法や運動の強度の指導をし、その成果を確認するということも行っています。例えばウォーキングやヨガであれば、そのやり方によって強度を自由に変えることができますが、マラソンなどの激しい運動は体質によっては注意が必要です。最後はツボによるセルフケアについてです。未病体質学では、ツボの自己マッサージを推奨しています。たとえば、血お質(シミタイプ)のかたであれば、「合谷(ごうこく)」というツボを押すと良いでしょう。
小林
私は「血お質」(シミタイプ)だったので、早速今日から実践してみます!

平和質(健康タイプ)になるために

小林
「平和質」(健康タイプ)になるために、日頃からできることを一つ教えていただけますでしょうか。

ハトムギ
鈴木
まず、バランスの良い食事が大切です。 私が専門分野として研究をしているハトムギは栄養価が高いのでおすすめの食材です。お米とほぼ同じ栄養組成でありながら、タンパク質は米の2倍です。水分を多めにして玄米炊きにしたり、サラダや酢の物、焼き飯、ポン菓子にするなど様々なレシピがあります。
小林
ハトムギというとお茶のイメージしかないのですが、食材としても優秀なのですね。
鈴木
ハトムギは麦ではありません。どちらかというとトウモロコシに近いイネ科の植物です。
小林
そうなんですね、知りませんでした。

ハトムギを使ったレシピ
鈴木
ハトムギの白い実(子実)の部分は、ヨクイニンという漢方薬にもなっています。白い実を単体で食することは、体を冷やしてしまうので、「陽虚質ようきょしつ」(冷え性タイプ)のかたはご注意ください。最近の研究では、その体を冷やすというデメリットを解消するような成分がハトムギの殻・薄皮・渋皮に含まれていることが分かってきました。次回はこの食材やレシピについてもう少し詳しくお話をしたいと思います。
小林
自分の体質を知り、日頃から体調の管理を心がけることが大切ですね。本日は、大変興味深いお話をありがとうございました。
〈記事監修〉 鈴木信孝医学博士 (すずきのぶたか )
昭和56年 防衛医科大学校卒業後、金沢大学産科婦人科医局に入局
以後、恵寿総合病院産院院長等を歴任
平成 5 年 金沢大学医学部助手
平成 6 年 金沢大学医学系研究科講師
平成11年 ハルビン医科大学客員教授を併任
平成13年 日本補完代替医療学会理事長
平成16年 臨床研究開発補完代替医療学 講座特任教授

補完代替医療分野の中でも特に、各種機能性食品・植物性医薬品の臨床研究が専門

「世界一受けたい授業」(日本テレビ系列)へのご出演や、お弁当ブランド「Hotto Motto(ほっともっと)」と食と健康に関する共同企画に取り組まれるなど、多方面でご活躍されています。

〈参考書籍〉

健康体質づくり〜スマートライフの実現に向けて〜
発行元:未病体質研究会


〈参考サイト〉
体質スタジオ http://taisitsu.jp/

第1回「今から取り組む体質改善」
金沢大学臨床研究開発補完代替医療学
講座特任教授 医学博士 鈴木信孝先生
第2回「薬とサプリの飲み合わせ」
帝京平成大学薬学部 
教授 薬学博士 井手口直子先生
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